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" 竜の夢 "

作者:みはいる尾作

アーティフィシャル・サイオニクサー(人工超能力少女)

「ホントはね。戦いたくなんかないの。イヤなの。こんなチカラなんか要らないって、何度も思ったのよ。
 でも、わかったの。みんなが戦わなくてすむ世界を取り戻すために、このチカラはあるんだね。
 だからね、戦うのよ。戦わないために、戦うの」

●背景

 戦争の続いた〈異歴史〉で、ある国の科学者たちが超能力の軍事利用を完成させました。

 その世界では、超能力は幼少期にのみ強く発現し、成長と共に急速に衰えていくということを知った彼らは、 身寄りのない子供たちを集めて超能力強化処理と幼態成熟(ネオトニー)処理を施しました。 こうして生まれてきた超能力部隊の兵士がアーティフィシャル・サイオニクサーです。

 彼女たちの外見は10歳程度に固定され、それ以上に成長することはありません。 そして、様々な超能力を鍛え上げられ、戦場に赴いたのです。

 結果、それまで膠着していた戦局が一変しました。 超能力を用いることで敵兵を殺さなくても無力化することができるため、戦死者は大幅に減少しました。 そして、和平交渉が進み、まもなく終戦というところまでこぎつけたのです。

 雲行きが怪しくなったのは、敵軍に新しい部隊が投入されてからでした。 サイコキネシスを受けつけない戦闘機。エレクトロキネシスで止まらない戦車。 そして、強力なテレパシーを持ってしても心を見通すことのできない兵士たち。

 新たな部隊は残虐でした。それらが通り抜けた後は、一人残らず虐殺されました。 収まりかけていた戦火は逆に拡大し、多くの人々が命を落としていきました。

 情報収集を担当していたアーティフィシャル・サイオニクサーは、真実を[予知]しました。 すべては、超能力者のいるこの世界を滅ぼすためにディーヴァが仕組んだことだったのです。 ディーヴァはアンチサイ処理を施した機械化部隊を異世界から投入していました。 アーティフィシャル・サイオニクサーが気がついたとき、すでに敵国には意思をもった人間はひとりも残っていませんでした。

 彼女が[予知]した最後の光景は世界の滅亡でした。 [テレパシー]で警告を発しようとしたその時、 彼女の精神はディーヴァの用意した精神罠(マインドトラップ)にかかり粉みじんに打ち砕かれてしまいました。

 霧散していく精神波をドラコニスが回収し、新たな戦場と新たな任務を与えました。 戦いのために生まれながら、本当は優しい心をもったアーティフィシャル・サイオニクサーは、 人々が戦わなくてすむ世界を守るために、自分は〈竜の傭兵〉として戦うことを決意したのです。

 ベース・キャラクターの知力が11以下なら、このバージョンは選択するべきではありません。

●能力値修正

 元の能力値によっては調整が必要になります。 ベースの体力または生命力によって取得できるCPが減ってしまう場合には、知力の上昇を+1(15CP)にしてください。 知力が12以下などでCPがあまる場合には、超能力技能の取得にまわします。

●追加特徴

 アーティフィシャル・サイオニクサーが超能力を使うときには、 片手で自分の身体の各所を定められた順番(プレイヤーが決めます)で触れていく必要があります-10%。 この動作のため、集中に必要な時間は通常の4倍-20%(通常1秒のものは4秒)になります。 さらに、超能力を使用するたび、各々の能力に指定されているものに加えて余計に2点疲労します-10%。 こういった制限がある代わり、パワーレベルを上昇させるのに必要なCPが-40%されています。

[ESP/PL10](18CP)

 サイオニクス(G文庫版)・P91にある同名の特徴を参照してください。

[テレパシー/PL10](30CP)

 サイオニクス(G文庫版)・P117にある同名の特徴を参照してください。

●超能力技能(ESP)

技能名 レベル 消費CP 掲載元
[透視] 知力 4CP サイオニクス(G文庫版)・P92
[透聴] 知力-1 2CP サイオニクス(G文庫版)・P93
[未来予知] 知力+1 6CP サイオニクス(G文庫版)・P94
[目標探知] 知力-1 2CP サイオニクス(G文庫版)・P96

●超能力技能(テレパシー)

技能名 レベル 消費CP 掲載元
[思考感知] 知力 4CP サイオニクス(G文庫版)・P129
[思考転送] 知力 4CP サイオニクス(G文庫版)・P132
[精神遮蔽] 知力 4CP サイオニクス(G文庫版)・P139
[記憶操作] 知力-1 2CP サイオニクス(G文庫版)・P123
[眠り] 知力-2 1CP サイオニクス(G文庫版)・P146

●追加技能

なし

●格闘動作

なし

●弱点

「未成年」3L(-6CP)

 超能力を最大限に発揮するため、幼態成熟処理をほどこされたアーティフィシャル・サイオニクサーは、 10〜12歳前後の外見以上に成長することはありませんでした。 この制約はバージョンとして転生した後も残されています。 通常の〈竜の傭兵〉は、転換後はバージョンとしての姿とベースの姿のいずれかをとることになりますが、 彼女の場合バージョンとしての姿か、ベースが10歳当時の姿か、のいずれかになってしまいます。

「睡眠時間増加」2L(-6CP)

 体が子供のため、1日に10時間を眠らなければなりません。

本来名称 出展
Extra Sleep GURPS COMPENDIUM I・P81

「歪み」(-15CP)

 軍の研究所で育てられたアーティフィシャル・サイオニクサーは、主に対人関係において精神的な歪みが生じてしまっています。 次の四組から、どれか一つを選択してください。

A.「冷淡」(-15CP)

 徹底した合流主義教育の結果、他人の感情が理解できなくなっています。

 百鬼夜翔・P53にある同名の特徴を参照してください。

B.「優柔不断」(-10CP)+「ワカりやすい」(-5CP)

 上からの指示に従うことを求められたため、自分で意思決定を行うことができません。 また、隠し事をすることが苦手です。

 百鬼夜翔・P53にある同名の特徴を参照してください。

C.「内気」2L(-10CP)+「強迫観念/クマのぬいぐるみを手放せない」(-5CP)

 ひどい人見知りです。

 前者はベーシック完訳版・P45、後者はベーシック完訳版・P46にある同名の特徴を参照してください。 人と話をする必要があるときには、代わりにぬいぐるみに話し掛けることで間接的に接しようとします。

D.「好奇心」2L(-10CP)+「そそっかしい」(-5CP)

 幼児性が捨てきれておらず、興味を持ったものには無造作に手を出します。 落ち着いた行動、判断とは無縁です。

 前者はベーシック完訳版・P49の同名の、後者はGURPS COMPENDIUM I・P82にある「Regular Klutz」の特徴を参照してください。 何かを手に持って運んだり、手先の作業を行う場合、そして多くは「好奇心」で何かに手を出した場合、追加の敏捷力判定が要求されます。 失敗すると、手に持ったものを落としたり、作業台をひっくり返したりしてしまいます。この判定では、敏捷力は最大でも13とみなします。

●愛用品/イン・ザ・マーク

「歪み」でパターンCを選択した場合のみ、抱きかかえられるくらいの大きさのクマのぬいぐるみを登録しています。

●装備

○A.B.F.(アンチ・バレット・フィールド)/ 3CG

 銃弾に対する防御フィールド。

○イメージ・インデューサー/ 1CG

 平凡な外見だと錯覚させる心理投影機。

○ライト・ドラゴン・スーツ/ 1CG

 精神エネルギーで強化された防護服です。 このキャラクターの場合、体にフィットしたレオタードのような服装になります。 受動防御2、防護点2。重量は1kgとみなします。

○残りクロノジェム:5

●成長

 テレパシーとESPのパワーレベルを伸ばしたり、限定を取り外したり、新たな超能力技能を修得したりすることができます。 『ガープス・サイオニクス』を参照してください。

●イメージソース