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" 竜の夢 "

作者:みはいる尾作

クロックワーク・アーティスト(天才時計職人)

「私にまかせておけぃ!
 こんなこともあるだろうと作っておいた新発明! ひみつメカ78号だ!!」

●背景

 技術の進歩する方向の違いが、この〈異歴史〉を作り出しました。

 この世界では、電気工学がまったく進んでいません。 代わりに進歩したのが、産業革命の頃に生まれた機械技術と蒸気機関です。 精密ながら強固な機械部品が量産され、高出力の蒸気機関がエネルギーの主力となり、 都市の隅々にまで蒸気を巡らすパイプラインが配備されていました。

 蒸気TV、蒸気演算機、機械式電話など、基礎となる技術はまったく異なるものの、 ベース世界の20世紀後半程度の技術が日常で使われている世界でした。

 クロックワーク・アーティストの本職は時計屋でしたが、こと精密機械に関して彼はまさに天才でした。 さまざまな機械が、まるで魔法のように彼の元から生み出されていきます。 携帯サイズの電話や歯車式卓上コンピュータを、この世界で初めて作ったのは彼でした。 彼と、その仲間たちの成果で、世界はさらに進んだ文明の時代へと移り変わろうとしていました。

 しかし、ディーヴァにとってこの世界の技術は誤った技術なのです。 ディーヴァたちは都市にエネルギーを供給している「発蒸気所」に侵入し、大ボイラーに細工をしました。

 急激に高温、高圧化した蒸気はパイプラインを通して都市の各所を襲い、あちこちで爆発と火災を引き起こしました。 蒸気動力の機器の多くは役に立たなくなり、さらにその熱にさらされた精密機械機器もゆがみが生じ、壊れていきます。

 そして、壊れた機械が次の事故を起こし、世界全体を破壊していったのです。

 クロックワーク・アーティストたちはその発明を駆使して世界の修理を試みました。 しかし、世界を救うには彼らのような天才の数はあまりにも少なすぎました。

 修理途中におきた二次事故に巻き込まれ命を落とす寸前まで、クロックワーク・アーティストは自分が世界を救えると信じていました。 その強い思いが、ドラコニスを彼の元へと引き寄せたのです。

●文明レベル

 天才時計職人の世界の技術は、ベース世界のそれとは大きく異なります。 それはおよそ産業革命の頃、文明レベル5の時代に分岐しました。

 彼の世界では、電子工学などはほとんど進歩しませんでしたが、機械工学と蒸気機関が恐ろしいまでに発展しました。 その結果、ぜんまいや歯車のような機械工学の産物で、ベース世界にある電話や自動車、さらにはコンピュータなどの文明レベル6〜7に相当する品物が生み出されたのです。

 この世界の文明レベルを「文明レベル5+2」と表します。 通常の文明レベルとしては「7」に相当しますが、普通の文明レベル7の人間が彼らの機械を使おうとする場合には「慣れていない」ことによる-2の修正が加わります。 逆の場合も同じです。

 天才時計職人は、天才だったので、時計などの小機械の技術に関しては文明レベル5+3(文明レベル8相当)の技術を持っています。 元の世界では「高テクノロジー」の特徴があったわけなのですが、ドラゴンマーク世界では文明レベル8は一般的なので、これによるCP消費はありません。 彼はゼンマイとバネと歯車とで、文明レベル8で登場する機械を発明することができるのです。

●能力値修正

なし

●追加特徴

「超々発明家」(50CP)

 新しい機械を生み出す、天才的なひらめきを持っています。 十分な資金さえあれば、まったく新しい発明品を作り出すことができます。 ただし作れるのは文明レベル8相当までの科学的な製品で、妖力やスーパーパワーを持つ妖具の類は作れません。 ガープスベーシックやサイバーパンク、その他のサプリメントで、文明レベル8で作られることになっている品物であれば、問題なく作成できます。

 彼の作品は、正確には「文明レベル5+2(一部は3)」の製品です。 動力源はゼンマイ、バネか蒸気機関になるでしょう。 材料はルール通り調達する必要がありますが、費用はポケットマネーで賄えるものとします。

 作られた発明品は、1〜2回使うと壊れてしまいます。また、仮にCGを使っても持ち帰ることはできません。

 百鬼夜翔・P272〜273にある同名の特徴を参照してください。

「謎のアイテム」1レベル(5CP)

 窮地に陥ったとき、なぜかその場に都合のよい機械を「こんなこともあろうかと」事前に作っておいたことにできます。 このアイテムは『ギズモボックス!』という名称で〈竜形の紋様〉の中に〈登録〉してあるものとします。 以前に自分で発明したことのあるものか、彼の文明レベルで普通に流通している品物でなくてはなりません。 この効果は、1シナリオにつき一度だけ使用できます。

 百鬼夜翔・P273にある「こんなこともあろうかと!」を参照してください。

●追加技能

技能名 レベル 消費CP 掲載元
〈機械工/小機械/5+3〉 知力 2CP ベーシック完訳版・P76
〈技師/小機械/5+3〉 知力+6 16CP ベーシック完訳版・P72
〈機械工/蒸気機関/5+2〉 知力 2CP ベーシック完訳版・P76
〈技師/蒸気機関/5+2〉 知力 4CP ベーシック完訳版・P72
〈銃器/カーバイドライフル〉 敏捷 1CP ベーシック完訳版・P86

●弱点

「自信過剰」or「妄想/私は天才だ」(-10CP)

 自分を天才と呼んではばかりません。場合によっては「嫌な行動」にもなるでしょう。

「強迫観念/分解癖」(-10CP)

 見知らぬ機械を見ると、とりあえず構造を調べるために分解しようと試みます。

「嫌な行動/他人を実験台にする」(-10CP)

「データを取る」と称して、しばしば他人を未完成な発明の実験台にしようとします。 なにしろ未完成品ですから、そのほとんどはまともに動かないばかりか、使用者に迷惑がかかるような品物ばかりです(排煙で顔が真っ黒になる。黒板をひっかいたような音がする。予定していた機能が過剰に働く。など)。 GMは面白くなるように、自由に副作用の内容を決めることができます。 それを知った相手からの反応は-2されます。

●愛用品/イン・ザ・マーク

 工具セット一式 、遮光ゴーグル、カーバイドライフル、そして『ギズモボックス!』を収納し、3CGを余分に消費しています。

 工具セットは、これ一つで大型蒸気エンジンの修理から精密な懐中時計の組み立てまで対応できる優れものです。 そのかわり技能判定への修正はありません。

 遮光ゴーグルは、突然の閃光や火花、蒸気、細かい金属粉などから目を保護する働きがあります。

 カーバイドライフルは文明レベル5+1の時代の産物で、アセチレン混合気の燃焼によって鉛弾を加速するライフル銃です。 アセチレンは炭化(カーバイド)カルシウムと水を反応させて作ります。マガジンには14発の鉛弾が入っています。

 一発のダメージは叩きの7d-1ですが、鉛傷により防護点を抜けた分が1.5倍になります。 抜撃ち値14、正確さ10、半到傷650メートル、最大射程4400メートル。重さは6.5kgです。 ドラゴンマーク世界では、1ターンに1回しか引き鉄を引けないとします。 詳しくはGURPS STEAMTECH・P14にあるCARBIDE RIFLEを参照してください。

『ギズモボックス!』は「謎のアイテム」です。 〈天才時計職人〉の記憶としては、適当な部品が詰め込まれたガラクタ箱です。 しかし必要なときに取り出すと、その場に適した機械を事前にガラクタから作っておいたことにすることができるのです。

●装備

○A.B.F.(アンチ・バレット・フィールド)/ 3CG

 銃弾に対する防御フィールド。

○イメージ・インデューサー/ 1CG

 平凡な外見だと錯覚させる心理投影機。

○ライト・ドラゴン・スーツ/ 1CG

 このキャラクターの場合、厚手の作業着に革の前掛けといった格好になります。 受動防御2、防護点2、重量1kgとみなします。

○残りクロノジェム:2

●成長

〈技師〉技能レベルを伸ばすことで、より複雑度の高い発明を行えるようになります。 また、材料を探すための〈探索〉技能などにCPを費やすようにしてもいいでしょう。

●イメージソース