ドリュアス・レイディ(緑の乙女)
「あたたかな太陽の光の恵みの下で、わたしたちは幸せに暮らしていました。
動けない友たちも、やわらかな風に梢の先をゆらして静かにまどろんでいました。
あの穏やかな日々は戻ってこないのでしょうか。帰りたい。いつか、きっと」
●背景
足先まで届く長く美しい緑色の髪と、透き通った深緑の瞳を持った人間のような姿をした ドリュアス・レイディは、その実、人間とはまったく異なる系統樹を辿って進化した種族です。
驚くべきことに、その〈異歴史〉に住む生物は地に根を張るものも、四肢を持って動き回るものも、 全てが身体に葉緑体を持ち、光合成をすることで生命エネルギーを生み出していました。 つまり、ここには「ものを食べる」動物がいなかったのです。
緑の乙女の種族は、そういった半植物・半動物の生物の中でもっとも進化した種族です。 すべての植物は、心を交わすことのできる「おともだち」でした。 そういった「おともだち」が分けてくれる彼らの体の一部を貰い受けて加工することを覚え、 文明レベルは3程度まで進歩していましたが、炎や鉱物を使う技術はまったく持っていませんでした。
それでも、無限に降り注ぐ太陽の光さえあれば生きていける彼女たちは、 ゆっくりと流れる時間の中で、半ばまどろんだような幸せを満喫していました。
この世界を滅ぼしたのは、ディーヴァがもたらした蝗に似た草食昆虫でした。 大量発生した蝗は、植物世界の全てを貪っていきました。
世界で初めての「捕食生物」の出現に、植物たちはなすすべもありませんでした。 喰らい尽くされた不毛の地が世界中に広がって行きます。 空は蝗の大群で埋め尽くされ、暖かな太陽はその影に姿を隠されてしまいました。
暗い空を見上げ、ドリュアス・レイディは涙を流しました。 長い髪を蝗に食われながら、それでも生きていたいと望みました。
ドラコニスは乙女の心を救い上げ、穏やかな世界を取り戻すための戦いに誘いました。 ドリュアス・レイディは、それぞれの世界で暮らしている、 言葉を話せない彼女の「おともだち」と力をあわせて戦います。
●能力値修正
なし
●追加特徴
「植物会話」(15CP)
百鬼夜翔・P71にある同名の特徴を参照してください。
「飲食不要」(9CP)
通常の食事をしなくても生きていけます。 そもそも緑の乙女は消化器官を持っていないため、固体の食べ物を口にすることができません。 食べるふりをすることも不可能です。 液体であれば飲み込むことはできます。
本来名称 | 出展 | 増強/限定 |
---|---|---|
(同名) | 百鬼夜翔・P64 | 食べ物を口に入れたり飲み込んだりできない(飲み物は可能)-10%(-10%) |
「深緑の髪」(20CP)
伸ばせば足元まで届く長い緑の髪(実際には髪の毛にみえる別種の器官なのですが、以下の解説では「髪」として説明します)は、 緑の乙女の意思で腕のように自在に動かすことができます。 手先の作業に使うと、「柔軟」の特徴があるものとして扱えます。 攻撃に使う場合、攻撃距離が近接・1・2で、振り回して「叩き/振り-2」のダメージを与えることができます。
本来名称 | 出展 | 増強/限定 |
---|---|---|
追加の腕 | 百鬼夜翔・P73 | 自在に曲がる(基本CP:15)、長い(基本CP+5) |
「両手利き」(10CP)
ベーシック完訳版・P35にある同名の特徴を参照してください。 逆腕だけでなく、「深緑の髪」も利き腕として扱います。
●追加技能
技能名 | レベル | 消費CP | 掲載元 |
---|---|---|---|
〈植物学/TL3〉 | 知力-2 | 1CP | ベーシック完訳版・P73 |
●格闘動作
なし
●植物の友
ルールとしては、スーパーパワーに準じます。
[目覚めの祈り](25CP) ―― パワーレベル:3(17CP)/精度レベル:知力(8CP)
友人である植物にお願いして、動き出してもらいます。
動いて欲しい植物に髪の一房を絡ませ、1ターン集中して判定に成功すれば、 一度に直径3メートルの範囲内の植物が動き出します。 影響を受けた植物は移動力3、訓練された知力3の動物として扱い、 術者の命令(このキャラクターの場合、お願いという形をとりますが)に従います。 お願いの内容は口に出して言わなくてはなりません。
攻撃する場合、草や蔦であれば巻きつき攻撃、 樹木であれば枝を振り回して「叩き/振り+3」のダメージを与えてくれます。 命中判定は、緑の乙女の[目覚めの祈り]の精度レベルで行います。 草木の体力はパワーレベルで決まります。 草や蔦はパワーレベル+5なので8、木の場合パワーレベル+10のため13になります。 生命力は大きさによって、草なら1〜5、木で15〜25くらいです。
この力は、日の光の下でしか働きません。 持続時間は最大で12秒(パワーレベル×4ターン)ですが、 その間、緑の乙女は集中して祈り続けていなくてはなりません。 髪による接触が途切れても、術は終了します(そのため2メートル以上離れられません)。 持続が切れたら、植物はその場に根を下ろします。
本来名称 | 出展 | 増強/限定 |
---|---|---|
植物覚醒 | 百鬼夜翔・P107 | 持続時間延長・2L+60%、範囲拡大・1L+20%、 物理的接続(髪)がある-20%、陽光のもとでしか使えない-30%、 集中で維持-20%(+10%) |
●弱点
「昆虫恐怖症/軽度」(-10CP)
自分の世界が滅ぼされたとき、空を埋め尽くした蝗の大群を忘れることができません。 ベーシック完訳版・P47を参照してください。
「依存/日光:1日ごと」(-15CP)
緑の乙女は髪の中にある葉緑体で光合成をすることで生存のためのエネルギーを獲得しています。
毎日、最低1時間は日光浴をする必要があります。 これを欠かすと、1時間ごとに1点の生命力が失われていきます。
何らかの原因で髪が痛んだ場合には、日光を浴びなければならない時間が長くなります。 通常の半分より多くの髪が失われてしまうと、ほとんど動けなくなってしまうでしょう。
本来名称 | 出展 |
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(同名) | 百鬼夜翔・P141 |
「食事行為に対する嫌悪」(-5CP)
弱い「狭量」、または「嫌な行動」、「行為衝動」などが複合しています。 他者を殺してその死骸を栄養源にする「食事」というものを頭では理解していますが、感情で納得できていません。 そのため、他人が食事をしているのを目にすると激しい嫌悪感に襲われ、涙を流し、不快な態度を顕にしてしまいます。
この特徴はベースとバージョンが一体化していく過程で、最大の障害になったはずの部分です (ベースキャラクターは食事をしなければ生きていけないのですから!)。 多く、ベースキャラクターは以前に比べ、普段の食事という行為に対して敬虔な態度を取りがちになります。
●愛用品/イン・ザ・マーク
なし。
●装備
○A.B.F.(アンチ・バレット・フィールド)/ 3CG
銃弾に対する防御フィールド。
○イメージ・インデューサー/ 1CG
平凡な外見だと錯覚させる心理投影機。
○残りクロノジェム:6
●成長
[伸張](14CP)
「深緑の髪」を2倍にまで伸ばすことができます。さらに7CPを消費するごとに2倍になっていきます。
本来名称 | 出展 | 増強/限定 |
---|---|---|
(同名) | 百鬼夜翔・P68 | 腕一本のみ-30%(-30%) |
●イメージソース
- 小説『グリーン・レクイエム』 (講談社文庫:新井素子著)