ドクター・サムライ(仙剣士)
「今一度、あの微笑みを取り戻す為、我は荒ぶる修羅となろう。
如何なる深き悪夢とて、我の刃で斬り伏せる。
我が剣は人を切らず。病魔を断ちて人身(ひとみ)を活かす」
●背景
ドクター・サムライの故郷は我々の歴史の戦国時代に似た〈異歴史〉でした。
我々の知る歴史と異なるのは、この時代に見えないものを「斬る」力を持った能力者たちが居たことです。 ある者は重力の鎖を断って空を舞い、離れた相手をも剣閃の波動で打ち倒しました。 更には人の精神の流れを切り、思うがままに操つるもの、空間の繋がりを裂き、 一瞬にして千里の間合いを駆けるものまで居たといいます。
ドクター・サムライも特殊な力を得た剣士の一人です。 ある時期から彼の目には、人々を苦しめる病魔や痛みが陽炎のように、実体を持つ姿として映るようになりました。 この特殊な視力に目覚めて以来、痛みと苦痛に満ちた光景にいたたまれず、彼は戦場を去ります。 そして同じような力を持った師に学び、病魔を断って人々を癒す剣を体得しました。
多くの異能の妖剣士たちはその力を戦場で振るい、覇権を争うための武器としました。 けれどドクター・サムライは人を殺す剣を捨て、人々の笑顔を報酬に癒しを与える道を選んだのです。
この歴史を異常なものとみなしたディーヴァは、各地で妖術師たちへの恐怖を扇動しました。 そして同時に、力あるものには「神通力を飛躍的に高める薬」を与えて回ります。 人と人を越えたものの対立は熾烈を極め、瞬く間に大地は死体で埋め尽くされてゆきました。
そんな中、仙剣士は最後まで戦いに加わらず、人命を救うためだけに剣を振るいます。 けれどその最期は、助けようとしたその相手に刺し殺されるという報われぬものでした。
●能力値修正
- 「生命力+1」(15CP)
●追加特徴
「病魔を映す瞳」(10CP)
生き物の死と苦痛、それをもたらす病魔や負傷の存在を感じ取ります。 ドラゴンマーク・P44にある「霊格看破」と同様に扱ってください。
「病気耐性」(10CP)
病魔の姿を見、切り捨てることのできる仙剣士の元に、普通の病は寄り付きません。 ベーシック完訳版・P32にある同名の特徴を参照してください。
なおこの特徴は、ベースの生命力が11以上でないと取得できません。 10以下の場合、代わりに生命力をさらに+1してください。
[仙医刀術/PL10](15CP)
刀を用いる医術です。ルールとしては、超能力として扱います。
治療のためには、剣を振るって目標に宿った病魔を切り付けなくてはいけません(集中は不要です)。 このため能力発動の判定に成功した後、更に〈刀〉技能での命中判定が必要になります。 これには1攻撃動作を消費します。
またその性質上、自分自身を治療するのは困難です。 能力の発動に-2、命中判定には-4修正を受けた上、パワーレベルは半分(端数切り捨て)として扱います。
本来名称 | 出展 | 増強/限定 |
---|---|---|
ヒーリング | サイオニクス・P98 | 瞬間・ただし1アクション消費+15%、必要行動:刀で切りつける動作-30%、 〈刀〉技能での判定が必要-15%、自身の治療が困難-20%(-50%) |
●追加技能
技能名 | レベル | 消費CP | 掲載元 |
---|---|---|---|
〈刀〉 | 敏捷+2 | 8CP | マーシャルアーツ完訳版・P28 |
〈医師/TL4〉 | 知力+3 | 10CP | ベーシック完訳版・P68 |
〈外交〉 | 知力-1 | 2CP | ベーシック完訳版・P79 |
●格闘動作
【部位狙い/刀】:〈刀〉-1(2CP)
マーシャルアーツ完訳版・P47にある同名の格闘動作を参照してください。
【手加減/刀】:〈刀〉(2CP)
- 修得:難
- 技能なし値:〈刀〉-2
- 上限:〈刀〉
力加減を調節し、精密に、狙った以上の損傷を与えることなく目標を攻撃する技術です。 手加減するときは、あらかじめ攻撃前に手加減を宣言しなければなりません。 宣言した場合、命中修正に-2のペナルティを受けます。
攻撃が命中したとき、必要ならば【手加減】の判定を行ってください。 このとき、命中判定にかかった修正が全て適用されます。 判定に成功すれば、成功度に等しい点数分まで、与えるダメージを任意に減少させることができます。 この修正は、目標の防護点を引く前に適用します。
この技は命中判定でファンブルし、味方を攻撃してしまった場合などでも使用できますが、 その際には判定に-4のペナルティがかかります。 ファンブルの結果、自身に命中した場合には、使用できません。
●仙術技能
ルールとしては、超能力技能として扱います。 生身の肉体構造を持つ生物に対してしか効果がありません。
[病魔を断つ]:知力+1(6CP)
目標の肉体を蝕む病や負傷を断ち切り、健康な状態に回復します。 成功すれば、最大でパワーレベルに等しい分のダメージを癒すことができます。
ターンの最初に、[病魔を断つ]判定を行ってください。 このとき、超能力の[治癒]と同等の修正がかかります。 成功したら、続けて〈刀〉技能で命中判定を行います。 この目標値は最大13で、14以上は技能レベルがいかに高くても失敗となります。 これにも成功すれば、疲労した分の2倍のダメージを癒すことができます。
病気や毒の治療、および連続試行などについては、超能力の[治癒]のルールに従ってください。
[痛痒を断つ]:知力-1(2CP)
苦痛を司る気脈を断ち、一時的に目標の痛覚を遮断する技です。
ターンの最初に、[痛痒を断つ]判定を行ってください。 成功したら、続けて〈刀〉技能で命中判定を行います。 この目標値は最大13で、14以上は技能レベルがいかに高くても失敗となります。 これにも成功すれば、[痛痒を断つ]の成功度、 もしくはパワーレベルの半分(端数切り捨て)の低い方に等しい秒数だけ、 目標は痛覚による不利益から解放されます(最低1秒)。 その代わり、自分の傷の具合は見た目でしか判断できません。 怪我を軽視してしまうことも往々にしてあるでしょう。
人間とは構造の異なる目標に対して用いる場合、あらかじめ適切な技能で判定を行わなければなりません。 動物が目標なら〈動物学〉などで、必要な成功度はGMが定めます。
●弱点
「医師の名誉重視」(-15CP)
負傷したり、病に苦しんでいるものを見捨てることはできません。 その場で自分にできる限りの手当てを施し、最後まで、あるいは安全が確保されるまで面倒を見なければいけません。 ベーシック完訳版・P55にある「平和愛好/非殺」と同等に扱ってください。
「平和愛好/専守防衛(限定)」(-10CP)
ベーシック完訳版・P55にある同名の特徴と同様ですが、 弱者(どこまでが「弱者」かはGMの任意です)を守るという目的においては先制攻撃が可能です。 このため、得られるCPが減少しています。 GMが望むのであれば、この特徴は「義務感/弱者」を含むとして構いません。
「狭量/身体を大切にしない人間」(-5CP)
不健康な生活をしている者や命を大切にしない者、乱暴者には狭量な態度をとってしまいます。
「特殊効果/斬りつけないと治癒できない」(-2CP)
治療のために、患者の肉体を全力で斬りつけます。 このとき刀は体内の病魔だけを斬り、患者の身体を傷つけることはありませんが、 これは治療を受け入れてもらうために大きな障害となります。 まずは相手の信頼を得るため、常に仙剣士は腐心する必要があるでしょう。 そして当然ながらこの「治療」は非常に目立ち、またしばしば重大な誤解を招きます。 場所によっては、周囲の目にも気をつけなくてはならないかもしれません。
仙術技能の判定にファンブルしたときは、患者を普通に攻撃したものとして扱います。 患者は治療だと思っているでしょうから、能動防御さえ行えない場合も多々あるでしょう! 〈刀〉技能の判定でファンブルした場合は、攻撃ファンブル表を参照してください。
この欠点は、取得できる弱点の上限に含めません。サイオニクス・P18を参照してください。
●愛用品/イン・ザ・マーク
医師鞄と愛用の刀を収納しており、余分に1CGを消費しています。 刀は上質の武器として扱ってください。殺傷力はサムライ・ウォリアーのものと同じです。
●装備
○A.B.F.(アンチ・バレット・フィールド)/ 3CG
銃弾に対する防御フィールド。
○イメージ・インデューサー/ 1CG
平凡な外見だと錯覚させる心理投影機。
○ミディアム・ドラゴン・スーツ/ 2CG
外見はすっぽりと身を包む貫頭衣と、その内側に身につける軽素な皮鎧になります。 或いはたっぷりとした侍装束でも構いません。 どちらにしてもその上着は、緊急時には担架や敷き布・毛布の代わりとして活用されます。 上着を脱いでいる時にはライト・ドラゴン・スーツとして扱ってください。
○残りクロノジェム:3
●成長
技能名 | 掲載元 |
---|---|
〈柔道〉 | ベーシック完訳版・P86 |
〈準備/刀〉 | ベーシック完訳版・P87 |
〈精神防御〉 | ベーシック完訳版・P92 |
〈強靭精神〉 | ドラゴンマーク・P32 |
[気脈を断つ]
[痛痒を断つ]の応用技で、目標の特定部位の感覚を完全に遮断し、一時的に麻痺させる技です。 マーシャルアーツ完訳版・P33にある〈経穴〉、 あるいはワイルド・ナースの〈点穴〉技能と同様に扱ってください。 ただし四肢を狙った場合の麻痺している時間は、 5D秒ではなくパワーレベルに等しい秒数となります。
●追加装備
緊急手術用簡易テント 2CG
特殊なからくり仕掛けにより、素早く自動的に展開する小型のテントです。 内部は魔化された《避難所》により清潔に保たれ、小型のランプがついています。 野外等での緊急手術を目的とした装備で、収容人数は最大2人(治療者+患者)です。 普通に休養するために使っても構いません。
テント本体の総重量は7kg+ランプが1kgとなります。 ランプは取り外して単独で使うこともでき、合計で24時間分(0.5リットル)の油と火打石も付随しています。
+1CGで収容人数と総重量、付随する油の持続時間が二倍になります。 さらに+2CGで《調理》の魔化された簡易調理用具と食器、《発火》装置と《水作成》機能が追加されます。
●イメージソース
- コミック 『玄米ブレード』